見えない中での攻防戦「ゴールボール」の醍醐味
鈴が入ったボールを相手ゴールに投げ、守備側も音を頼りにゴールを守る、という競技。視力の程度にかかわらず、アイシェードという、光を通さない加工をしたスキーゴーグルタイプのものをつける。晴眼者も同じ条件で行える競技でもある。
(中略)
ボールはバスケットボールの硬さはないにしても、重さは約2倍の1.25キロなので、体に当たったら痛い。1.25キロのダンベル、肉、野菜など、思い浮かべてみるとわかる。軽く転がしているのだが、それが体のどこに当たるかわからないので、それもまた恐怖だ。手足ならまだいいが、おなかなどに当たると痛い。(一部抜粋)
バスケットボールの硬さはないにしても……
と書かれると『柔らかそう』に思えてしまうけど、実はこのボールはラバー製。
機会があって、何度か練習にお付き合いをさせて貰った事があるけど、
そらもう、滑りが悪い悪い。
しかも1.25kg 。
軽く転がす?
とんでもない。男子のボールスピードは力任せに放るボーリングと一緒。
ハイスピードで床を転がって来たこのボールが身体に当たると、『衝撃』をうけるだけやなくて、ボールの回転で起こる激しい摩擦で着衣ごと巻き込まれて皮膚も真っ赤になってしまう。
競技自体は至ってシンプル。
1チーム3人で、サッカーで言うPK戦のようにオフェンス、ディフェンスを繰り返す。
ただ違うのは、ボールをお互いのゴールに入れ合うだけのスポーツではなくて、実はとんでもなく身体を張った競技やったりすること。
更に、視力障害の人達も、完全に見えない人、ちょっとだけ光を感じる人、弱視の人……と皆『見え方が違う』から、このゴーグルで完全に視界をシャットアウトする。
ホンマに真っ暗。
そんな競技やから、日本代表クラスになると、体つきは皆さん……
ムキムキアスリート。
もちろん、オフェンスでボールを投げるときも、ちゃんと指示を出す。
ボールの中の鈴の音もそんなに大きな音はしないから、聴覚だけでボールの行方を一瞬で判断をせなあかん。
凄い緊張感の中で一投一投、全力で投げられる重量級ラバーボール。数秒間で音を聞き分けて、更に皆で指示を出し合い、身体を投げ出し死守する。
それだけに止めた瞬間、PK戦と同じくらい興奮出来る。
実は来年の『東京2020』、オリンピックにばっかり目を向けていると、楽しみは半減すると思てる。
オリンピックはテレビでもええかな……と思う反面、パラリンピックは生で見たいなぁ、と。
実はパラスポーツは、シンプルなだけに熱かったりするのよ。